抜歯治療 vs 非抜歯治療
1.歯と顎の大きさのバランスが合っていない(歯が大きい、顎が小さい)ために、すべての歯を
並べられない場合や、上下の顎骨の大きさや位置のバランスが合っていない場合、
さらに、治療後の口もとが突き出た感じにならないように前歯を引っ込めたい場合などは、
永久歯の抜歯が必要なことがあります。
2.顎変形症の場合には、骨格性の問題をカモフラージュするための抜歯治療は
顔貌の改善が得られないだけでなく、歯を支えている(歯槽)骨にとっても
好ましい治療とは云えません。
〜抜歯治療例(左) と 非抜歯(抜かない)治療例(右)の比較〜

口腔内写真は上段が治療前、下段が治療後です。
側貌の重ね合わせは、それぞれ左が治療前、右が治療後です。
実際の治療内容をご覧になられる場合は、症例の画像をクリックして下さい。
左の抜歯治療例は、治療後に口唇の突出感がなくなり良好な口もとが獲得されていますが、
右の非抜歯(抜かない)治療例では、治療後も突出したままです。
歯がすべて揃っているからと云っても、きちんと噛み合っていないのであれば、咀嚼の効率
が悪かったり、その他の問題を抱えたままの状態であると考えるべきでしょう。
また、歯は、常に唇や頬や舌からの圧力を受けながら、現在の位置に並んでいます。従って、
無理矢理にすべての歯を並べてしまうことは、これらの圧力のバランスに不調和を来たして、
治療後の安定性が懸念される場合が多いのです。
なお、歯を抜いてできたスペースは治療終了時には閉鎖されています。
このように、矯正治療では歯を抜かざるを得ないことが多いのですが、
永久歯がすべて生え揃っていて、歯を並べる上下の顎骨の成長が終了した成人と違って、
まだ成長の途中の時期にある学童期に治療を開始する(T期治療)と、成長を利用することに
よって、非抜歯での治療が可能となることもあります。
例えば、下顎が小さく後退しているタイプの上顎前突(”出っ歯”と呼ばれる歯並び)では、
下顎の前方への成長を促す装置を用いることによって、上顎と下顎の前後的なバランスを
改善できることがあります。十分な効果が得られた場合には、永久歯を抜歯せずに並べる
ことが出来ます。
上顎前歯部空隙と過蓋咬合を伴う上顎前突(T期治療+U期治療)

上段:T期治療前 下段:U期治療後
この症例の詳しい治療経過をご覧になられる場合は↑画像↑をクリックして下さい
また、上下の顎骨が小さくて、永久歯の前歯だけが生えかわった時点で、
これから後に生えかわる犬歯や小臼歯、第二大臼歯を並べるには十分なスペースが無いと
予測される叢生(”八重歯”とか、”乱ぐい歯”と呼ばれる、ガタガタの歯並び)でも、
少しずつ歯列弓(歯を並べるアーチ型の土手)を拡大していくことが出来れば、
永久歯を抜歯せずに並べることが可能となることがあります。
上下顎前歯部叢生(T期治療+U期治療)

上段:T期治療前 下段:U期治療後
この症例の詳しい治療経過をご覧になられる場合は↑画像↑をクリックして下さい
ところで、不正咬合の原因が骨格に問題があるにもかかわらず、歯だけを治療対象として
(抜歯治療によって)咬合(=歯並び)を改善することは、顎変形症の根本的な治療ではなく、
問題のある骨格をカモフラージュしているに過ぎません。
骨格には問題がない場合 問題がある場合 顎矯正手術を施行した症例
 
側貌の重ね合わせは、それぞれ左が治療前、(真ん中は手術直前、)右が治療後です。
実際の治療内容をご覧になられる場合は、症例の画像をクリックして下さい。
しかも、顔貌だけでなく、歯(を支えている歯槽骨)にも無理がかかってきます。
例えば、骨格性下顎前突の場合には、下顎前歯は過度に舌側傾斜(内側に傾けること)
させることになりますし、一方、上顎前歯は過度に唇側傾斜(前方向へ倒すこと)させる
ことになって、歯を支えている(歯槽)骨のに対してまっすぐに植わっていないことになって
しまいます。これが、上顎前突の場合は逆向きになります。
いずれにしても、不正咬合の原因は、歯性と骨格性の二つの要因から成り立っていることが
多いので、骨格性の要因が大きい場合には、骨格に対する治療を考えるのが理にかなって
いるのです。
(⇒詳しくは顎変形症や治療効果をご覧ください。)
治療例として、ダイジェスト版以外にも、
子供の治療(T期治療、T+U期治療)、
永久歯からの治療(U期治療、成人矯正)、
歯の裏側からの治療、
部分矯正、
顎変形症、
口唇口蓋裂 の種々の症例をご覧いただけます
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